Spring

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「あ…そうか…」 『何だよ?』 「りゅうはラブホ初めてじゃないんだよね」 『まぁ……』 「最後に来たのはいつ?」 『………………』 こういう事は正直に答えるべきなのかどうか… でも嘘ついても仕方ないし… 『去年の春くらい…かな』 みゆとの関係がおかしくなってた頃 よく夏希と部屋代わりにしてた 「…………………」 みゆもきっとあの頃を思い出してるんだと思った お互い避け合ってた辛い時間… 『みゆ…?』 「もしかして…あの人?」 『あの人って?』 「腕組んで歩いてたり…喫茶店に一緒にいた綺麗な人」 いずれ夏希の話もしなきゃとは思ってたけど こんな形はマズイ気がした… 「……エッチしたの?」 『してねぇ!!いや…』 セックスはしてないが…夏希の傷に触れたり抱き合ったりはしたし… 何もないとはハッキリ言いきれない 雲行きはどんどん怪しくなってく 頭の中では胡散臭いオネエな占い師の言葉が響いていた 喧嘩はダメ 喧嘩は… ラッキーアイテム餃子プリーズ! 「あの時りゅうはエッチしてたんだ……」 『だから!セックスはしてねぇよ』 「じゃあ何をしたの?!」 『……………』 傷の事は言ったらダメだ… 傷友の痛みをいくら相手がみゆだからって俺がペラペラ話せねぇよ… 「……帰る」 『ちょ!みゆ!』 思わず掴んだ腕を力一杯振り払ったみゆのバンビな瞳には 大粒の涙が今にも溢れそうになってる 「お願い……帰りた…い」 『分かった…』 泣き出したみゆ相手にここで言い合いしてても仕方ない… ほんわかデートが一転して地獄絵図と化した きっと占い師は今頃「イヤーン私の勝ちね」って野太い声で笑ってるに違いない  
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