Spring

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一時間ほど傷心ドライブして帰宅すると 待ってましたとばかりに悪魔様が玄関で待ち構えていた 「よう!早かったな!晩飯は餃子だぞ」 遅ぇよ餃子…… 今更ラッキーアイテムなんて… 『いらない…』 「どうした?死にそうな面しやがって 腹でも痛ぇのか?」 『ハッピッピーオネエに完敗だよ…』 「おま…ちゃっかり名前覚えてんじゃねぇか!!ワハハ!!」 『明日からオネエをバイブルにしてもいいよ』 「ったく…どうした?」 『泣きてぇ…』 「……………」 『消えちまいたいよ…』 「……よし!飲み行くべ!」 俺を部屋に入れる事なく そのまま居酒屋に連れ出してくれた英二さんに感謝した 朝の浮かれっぷりを見てるアヤさんやジジィにまで笑われたら立ち直れそうもない いつだって俺に優しい悪魔兄貴 俺の秘かなバイブルは今日も悔しいくらい格好良くて… 「とりあえず乾杯な」 『……ん』 「で?どうした?」 『実は………』 英二さんは俺の話をただ黙って聞いてた 時折首をポキポキ鳴らしたり 俺の空になったグラスにさりげなくビールを注いだりしながら… てっきり笑われるかと思ったのに何か意外だ  
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