28人が本棚に入れています
本棚に追加
その日みゆから連絡はなかった
アヤさんご自慢の餃子を食ってても
風呂に入ってても携帯が気になり
そして携帯を開いてはため息をついて閉じ…
深夜までそんな行動を繰り返し
いつの間にか寝落ちして…
朝をむかえ
目覚ましの音を携帯の着信と間違えて飛び起きた
まだ一日目だぞ!しっかりしやがれ!
と自分に活を入れながらバイトに向かった
「しっかり働かねぇと給料やんねぇぞ」
容赦なく俺をいつも以上にこき使う悪魔様
けど忙しく動いてる方が気がまぎれてよかった
もしかして英二さんはそれを分かってて……?
あっという間に夕方になり
こんなに早く時間が過ぎてくれるなら三日間だけなら一日中働いててもいい気がした
「お疲れさん」
事務所で私服に着替えてると携帯が鳴った
つなぎを脱いでボクサーパンツ一枚の間抜けな姿で慌てて携帯を開く
あからさまにうなだれた俺を見た英二さんにもどうやら伝わったようだ
「待ち人じゃねぇな」
『うん……』
携帯は手のひらで鳴り続けてる
「誰だ?」
『翔だよ……飯食いに行く約束してたんだった…』
「つか早く出てやれや」
『……もしもし』
「だぁりん!遅いっちゃ~~~!浮気け?!」
耳をつんざくようなボイスはきっと英二さんにも届いてるだろう
『ああ…駅前の居酒屋な…え?ヤスも祥二も来れるん?…分かった』
「女子会ならぬ男子会てやつか?」
携帯を閉じた俺に英二さんが低く笑った
『うん たまには四人でさ』
小学校の頃からずっと変わらない友情
思い出を共に作ってきたかけがえのない大切な仲間
「楽しんで来いよ」
『………ん』
「すぐに時間過ぎっから!」
『そうだね』
「つか早くジーパン履けや」
『へ~い』
「まだ俺のが勝ってるな」
『ええ?』
「ガタイだよ…チン〇じゃねぇよ」
『…チン〇も英二さんの勝ちだよ』
もしかして何か衰えを感じ始めてたりすんのか?
んなわけないよな
俺と4つ違いだし…
って…4つか
英二さんは大人だな
ぶっちゃけガキな部分も残しちゃいるけど…
腹がすわってるって言うか…
自分のガキっぽさが恥ずかしくなる
そういやよく「ガキ」って言われたな…
「何ブツブツ言ってる」
『いえ!じゃあお先に!』
「おう」
とりあえずみんなと会ってる間は
携帯を開いたり閉じたりソワソワするのを我慢してみよう…
最初のコメントを投稿しよう!