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みんなと花見の日の約束をして解散してから気付いた
携帯の事すっかり忘れてた
それは決してみゆの事を忘れてたって訳ではなくて
ヤキモキソワソワしなくなったって意味であり
少し落ち着いて待ってみる気になれたって事なんだろうか…?
携帯には相変わらずみゆからの着信やメールはないけれども…
携帯を閉じ小さくため息をついた所でいきなり後ろから肩を叩かれ
振り向くとメロンの甘い香りとともに
ニッコリ笑うあの御方の姿が
「よ~う!隆!」
『ト、トーヤ!何してるの?』
「ちょうどお前の家行く所だよ」
『ええ?』
「アヤ姉様のカットな」
『これから?』
時計はすでに22時を回ってる
「俺が居残りしてたから遅くなっちまってさぁ」
『そか…お疲れさまだね』
相変わらず仕事熱心なトーヤに感心する
『ついでに俺のカットも頼んでいい?』
俺の専属美容師トーヤ様
「おう!もちろん!」
『やった!トーヤ好きぃ』
ふざけて女みたいに抱きつくとトーヤがニワトリみたいな雄叫びをあげた
「お前は~~~!!!!」
『冗談だよ』
「質のいいBLになるだろが!」
『質のいいって何よ』
「グッドルッキングガイ同士の絡みって事だべ?」
「へぇ~……」
「濡れ場なんかもう腐女子がワラワラとだな…」
『俺…そんな趣味ないし』
「俺だってねぇわ!」
『じゃあいいじゃん』
「よくねぇよっ!」
トーヤをからかうのは楽しい
俺にとってトーヤは優しい兄貴の一人には違いないんだけど
何故か時折こうやってからかいたくなる
「何だ…」
『ん~~?』
「思ったより元気そうじゃんかよ」
『………え?』
「先輩がさぁ…隆がしょげてるっつうから…心配して損した」
『まさかそれでわざわざ来てくれたの…?』
「わざわざじゃねぇし!ついでだよついで!」
夏希にとどまらずトーヤにまで連絡する英二さんには困ったもんだけど…
それが野次馬な気持ちじゃないのは分かる
俺が深く悩まないように考えてくれてるんだ
今更ながら気付いた
心配かけてばっかりだな俺……
「お前来月から専門だろ?」
『あ~うん』
「明日はバイトか?」
『明日は休みだよ』
「じゃあ俺泊まろっかな?明日休みだし ショッピングでもしねぇ?」
『いいね~!そうしよ』
それはいいのだが…
俺耳栓どこにしまったっけ…?
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