過去と未来 第1章

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早朝。 晋爾たちは、朝日が出る前に起きると出発の準備を始めた。少しずつ、辺りは白み始めていた。 全員の目覚めは最悪だ。 「さて…気分は最悪だけど行くかー。」 「次は、オーティット。」 「秋の街だな。」 鼻の奥には、まだ血の臭いがこびりつき、息をする度に臭いがしている気がした。 吐きそうになるくらいの鉄の臭いに、項垂れながら歩く。 スプリットからオーティットまでは、山を三つほど越えなければならない。 まだまだ終らない旅のなかで、あと何人この手で殺めなければならないのかと、山や谷を越えながら思う。 いつの間にか、山をひとつ越えていた。 「まだ、オーティットまではかかる?」 「そうですね。あと山を二つほど…。」 「致命的な大怪我のあとだ。つらいか?」 「いや、大丈夫。さっさと越えて終わらせたい。なにもかも。」 なにもかも終わらせたい。 ホントは戦いたくなんかない。 王位継承者とかなんとかなんてどうでもいい。 ただ、みんなが共存して平和的に暮らすことだけを願ってるんだ。 もう、あんな悲しい思いはしたくない。 誰にも、自分のような思いはしてほしくない、ただそれだけだ…。
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