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更に歩いて、山を2つ越えるとオーティットの街が見えた。
きらびやかで、華やかで、裕福な人間たちの集落が広がっていた。
「ここが、オーティットか。」
「随分と派手な街だな。」
「そりゃあ、ここは王族と貴族の次に裕福な中途層とでも言う人間たちの集落ですからね。」
「田舎者の私たちには、縁も所縁もない場所ってことだな。」
「ホント、俺たちには手の届くことのないはずの光景だよ。」
「なに言ってんだ。晋爾は王位継承者だろ。」
「けど、生まれたのはスノーウィットだ。」
そんな会話のなかで、3人は互いに目配せをしながら後方へと意識を集中していた。
佳那汰はほとんど唇を動かすことなく小声で「二人も気付いてますよね?」と言うと、2人は「ああ。」と小さく返事をした。
篤が「遠くで、数はわからないが後ろの奴らとは別に戦闘中らしい。とにかく、王都への道だ…通るしかないぞ。」と言うと「なら、そこまで走るぞ!!篤!」と言い終わると同時に、篤を先頭に3人は走り出す。
しばらく走ると、目の前にはオーティットの華やかで、裕福なものたちが住んでいる街に近い場所とは思えない所だった…そこには、林が広がっていて、晋爾たちが着くと、既に血の臭いがした。
辺りの木には血痕が着いていて、足元は血の海となっており、死体があちこちに転がっていた…最早地獄のような光景が、目の前にはあったのだ…。
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