第1歩 始まりは常識を知らない

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「遅刻だぁぁあ!」 なんて、言う事もない。 遅刻したなら堂々と遅刻しようじゃないか! なんと言っても時代はゆとり! 学生ならではの、許された特権なのだから! そして、彼は居間へと足を運んだ。 「母さん…起こすならもっと早くに起こしてくれよ~」 挨拶よりも文句を言うなんて、 自分が悪いのに堂々と言ってのけるダメ人間がいる。 そう、俺だ! 「はいはい、文句はいいから、さっさと朝食食べて学校行きなさい。」 「あいよ~」 我ながら思うが、 この母から生まれたのは納得が行くな。 物腰は柔らかく、怒る事もなく、 マイペースに物事に取り組む姿勢。 纏めると、適当だ この母あっての自分だな、なんて納得しつつ 朝食を平らげた。 (さてと、学校の用意をするか) 大袈裟に言ったが、 用意するものなんてない。 髪は目にかかる程度の長さだし、 何時も無造作に仕上がっている。 昨日制服を着たまま寝たから そのまま行くし、 教材なんかも学校に置きっ放し、 昼食は学校の食堂。 つまり手ぶらでGOで せいぜいケータイと財布程度の荷物で家を出た。 まぁ今時の高校生はこんなもんだよな と、1人ゴチたのだった 「んじゃぁ行ってくるは~」 と、母さんに声を掛けるが 返答はなし。 大方最近ハマってる雑誌でも読んでるのだろう 少し寂しい気持ちで、家を出る 「行ってきまーす」
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