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「どうしても帰りたいというなら早く覚醒して負の力を発してごらん。
彼らもすぐ探知してこの場所がわかるはずだ。だけど、真実を知った君をやつらが生かしておくとは思えないがね。
それに、覚醒したら、帰りたいという気は失せるだろう。かつての負の力の使い手のように、君は私達を統率して、神となるのだから」
あたしは大きく首を振った。
「私はそんな力使えません!何かの間違いです」
先生はきっと勘違いしているんだ。昨日の地震だって偶然に違いない。
あたしは必死で自分に言い聞かせて、この恐怖から逃れようとした。
「その本を読んでごらん。
6歳のとき、君が何をしたかそこに書いてある。それが真実だ。
そのとき、君は確かに神の力を使ったのだ」
視線を落として本を見つめた。何か、とてつもなく恐ろしいものが手の中にあるような気がして、放り出してしまいたくなった。
「読みなさい。君は真実を知るべきだ」
その言葉にうながされて、あたしは恐る恐る本の表紙を開いた。29巻にあったマイナス数値の詳細がこの30巻には書かれているはずだ。
しばらくページをめくり、そして、見つけた。母さんの命日である、7月4日。
そして、その表題を見て、あたしは愕然とした。
数値 マイナス2150
使用者名 井上菜月
年齢 6歳
あたしの名前が確かにマイナス数値と並んでいた。
母さんの亡くなった日にいったい何があったのか。
あたしは、何を、したのか。
震えながら、そのあとの詳細な説明文を食い入るように読んだ。
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