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「お前がどうしてもその女性を守りたいなら、好きにしたらいい」
食事を終えた父親が、そう言って席を立った。
「はい」
「でも、気持ちを貫いた結果、社に影響が出る可能性があるなら、選択肢を間違えるな」
「……分かりました」
父親がリビングのソファーに大きく座り、夕刊を広げてタブレットを操作し始め、俺はその背中に返事をしてから自室へと向かう。
会社の未来と、俺の恋。
そんなの、圧倒的に前者が大きすぎて考える必要もない。
だけど、俺は守ってみせる。
父親の苦労だって、全く見てこなかったわけじゃない。
凛子さんとの関係だって、俺なりに大切にしてきた。
だったら、もういいじゃないか。両方を手に入れようと欲張れるのも、俺以外にいないのだから。
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