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「木崎、寝る前に飲んで行かない?」
部屋の扉に手をかけた私はリビングへ向かう初見を見た。
「夜景見えるよ」
「……」
ベランダに出ると小さなテーブルと椅子があった。
夜景の煌めきも申し分ない。
「初見って本当にあれだね」
「……どれだよ」
テーブルにビールを置いた初見は椅子を引いて腰を下ろした。
「社長の息子だし、外車乗ってこんなマンションの最上階に住んでるし……
型通りだなぁって思って」
「そこに顔も良いって入れておいてよ」
「……」
私は口を閉じて鼻から溜息を吐いた。
椅子に座ってビールを貰う。
ビールが空になり
「冷蔵庫になんか入ってたかも。
ついでに着替えてくる」
初見は一度中へ戻った。
街の喧騒も殆ど聞こえてこない。
雲間から見える空には一等星の星が見えるだけ。
私は椅子にもたれ、顔を空に向け目を閉じた。
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