第1章

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勝手にいなくなるくせに そんな心配なんてして。 身勝手なのは承知してます。 それでも 貴方が手を伸ばす先が自分であって欲しいと性懲りもなく思っている。 人差し指が部屋の番号を押す。 ピンポーンと機械音がエントランスに鳴り響く。 暫くしても応答はない。 腕時計を確認すると9時を回っていた。 以前貰った鍵を取り出し、部屋まで向かう。 部屋の前まで来てインターフォンに人差し指を伸ばして動きを止めた。 わざわざ起こすのは悪い。 この鍵を使えば扉は開く。 顔だけ見ていこうか、とも思ったけれど 結局ドアノブに持ってきた見舞いの品を括り付けてそのままマンションを後にした。
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