第1章

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口に出してはいけないと思った。 それが事実に成って、認めるしかなくなるから。 「あの人を見てると 真っ直ぐ過ぎて後ろめたい。 引き返す事も出来たけど それを選ぶ事はできなかった。 幸せになって欲しいのに それに自分が関与してない事が 正直歯がゆいです」 「いいねぇ」 「そして貴方にこんな事言わなきゃいけないのが凄く嫌です」 「おい」 見事なツッコミを入れられる。 「すみません。 ありがとうございました」 席を立ち頭を下げた。 「羽山」 「はい」 「俺、頼られるの嫌いじゃない」 「……は?」 年上相手に酷い態度をとってしまった。 慌てて取り繕うように顔を戻す。 「お前が屈辱に耐えて本音を口にした事 後悔しない日が来るよ 多分」 ふ、と笑う初見さん。 「……」 もう一度頭を下げて部屋を出た。
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