第1章

23/66

337人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「聞いた?同期に社長の息子いるらしいよ」 「え?そうなの」 「内定式にはいなくなかった?」 入社式 ざわつく会場内 こういう話は離れていても聞こえてくる。 「木崎、お前の姉ちゃん初見だよな」 「うん」 「社長の息子初見にいたんだって」 「へえ」 「て、いうかお前姉ちゃんいたの? ぜってぇ美人だろ。 写真ないの?」 「無いよ、家族の写真なんて」 「おい、あれじゃね? なんかめっちゃオーラある人」 「うわ、そうっぽい」 「あれ?」 「おい、木崎」 こちらに向かってくる靴音が傍で止まった。 「羽山さん?」 覗き込む様に頭を下げられる。 「……淳君」 「まじっすか?何で……」 先程の会話を思い出したのか 「初見にいた社長息子……?」 と、指先をこちらに向ける。 「うん、そう」 そう言うと、淳君はにっと笑って「よろしくお願いします」と頭を下げた。 「いいよ、同期だしタメ口で。 初めて会ったときそうだったし」 「うわ、そうでした」 恥ずかしそうに頭をかく、自分に対して物怖じしない態度にほぐされる。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

337人が本棚に入れています
本棚に追加