第1章

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設計部の研修が終わり二つ隣の部署に淳君が配属された。 持ち前の明るさと人懐こさと 不快ではないくらいの近さで 2日もすれば既にムードメーカーになっていた。 「君が羨ましいよ」 「え?何で?」 「人間関係適応能力の高さ」 「あはは。 羽山さんそういうの煩わしそうだもんね」 仕事終わりに誘われて、焼き鳥屋のカウンターにて酒を交わす。 白木の一枚板 江戸切子の照明 清潔感のある厨房 しかも価格は抑えてある 「いい店知ってるね」 「あ、大丈夫な所だった?」 「……大丈夫?」 うすはりグラスのビールを飲み込んで首を傾げた。 「うちの姉ちゃん店とか凄え気にすんの。 だからチェックするポイントが染み付いたと言うか、そういう店見つけると教えたりするんだ。 羽山さんもそうなんでしょ?」 「……そんな出てる?」 「んー、何となくね。 近場に同じような人間がいたから 感覚的に分かるっていうか」 「気使わせて悪いね」 「店選びなんてそんな内に入らないよ。 雰囲気良くて、うまくて、リーズナブルな店知ってると色々役に立つし、微妙な店で早く帰りたいとか思われるよりいいし」 「……君は本当に良い奴だね」 「はは」
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