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もう随分ゆっくり眠れていない
夜中に何度も目が覚める
そのせいで電車に乗るのも辛くなり
高々20分程度の道のりを途中で降りてしまう
物を食べても吐いてしまう
トイレで吐く行為さえ嫌悪感があり
食事をしない選択をした。
それを初見は気付いているのだろう。
会食の際はさりげなくフォローをしている。
私は申し訳無く、不自然じゃない程度に口に入れた。
みるみる体重は落ち、パンツスーツで足を隠した。
時々目の前がぐらりと揺れる。
壁に手をついてそのまま体を預ける。
「姉ちゃん、大丈夫?」
冷蔵庫に飲み物を取りに来た淳の声が背中から聞こえた。
「なんか、最近鎖骨の下あたりが痛くて」
さすりながら私が答えると首を傾げる。
「ぶつけたの?」
「ううん、そんな事ないけど」
「骨大丈夫?」
「うん、たまにぎしぎしする」
「は?それ危なくない?」
冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出した淳が眉を顰めた。
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