第1章

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綺麗だ。 部屋もトイレもお風呂も全て。 他人の部屋だから気を使うと思ったけれど、ここを掃除しているのはきっと初見ではないだろうし、鍵をかけてしまえば一人の空間になる。 初見が気を使っているせいもあるかもしれないが、人の気配や生活音が聞こえてこない。 お風呂に入ってかけてあったバスローブを羽織りそのままベッドに倒れこむ。 最近は家に帰っても淳がいるからそれなりに気を張っていた。 食べていないところを見られないよう 吐いてるところを見られないよう 普通にしている事を演じていた。 目を閉じれば疲れている身体の重みが感じられ、底無し沼に身体が沈んで行くように次第に意識が薄れて行った。
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