第1章

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ふ、と頭の中が切り替わった気がした。 目を開けて見慣れない天井に一瞬思考がぐるぐるしたが、上質な室内を見て直ぐにどこかということは認識できた。 久々に寝た。 顔を洗い身支度を整える。 部屋を出てリビングの扉を開けると広いリビングとキッチンが目に入る。 一人暮らしなのに、こんな広いの? 予想以上の広さと、シックなインテリアに感心せずにはいられない。 銀のレバーのついた冷蔵庫を開くと半分はビールに占領されていた。 「……人の心配してる場合なのかな」 牛乳を取り出し、コーヒーを淹れる準備をする。 「早いね」 初見がカウンターに寄りかかり、キッチンにいる私を覗き込む。 「あ、おはよう」 「少しは寝れた?」 「うん、ちゃんと寝れた」 「そりゃよかった」 「コーヒー飲む?」 「あぁ、頼む」 初見はあくびをしながら浴室へと消えていった。
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