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年に一度愛瑠の家族と集まっていた。
家族同士の仲は良く
妹も愛瑠に懐いていた。
父親は二代目で会社を大きくした。
母親が財閥の親族だったから。
仕事で上手くいかなかったはずがない。
恋愛結婚ではない二人の見合い話は
父が人脈を使い根回しをした賜物だ。
そんな父だから愛情を家族に向けることなどない。
唯一子供たちの救いは
そんな状況で結婚した母が
父の事を今でも好きだということだ。
家の中は
温かさに溢れていたと思う。
おっとりとした母親はどんな時でも父に寄り添っていた。
そんな2人を見ていたから
愛瑠を婚約者として紹介されても
何も思わなかったのかもしれない。
だけどそれは妹には納得のいく話では無かったらしい。
「お兄ちゃんはいいよね、愛瑠ちゃんだから。
可愛いし、優しいし
お兄ちゃんだって好きでしょ?」
「……さぁ」
「とか言って遊んでる人とはちがって
愛瑠ちゃんには紳士に接してるじゃん」
それは、愛瑠の機嫌を損ねないように
なんて、言う必要はない。
そもそも機嫌を取らなければいけない事は何もない。
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