第1章

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年に一度愛瑠の家族と集まっていた。 家族同士の仲は良く 妹も愛瑠に懐いていた。 父親は二代目で会社を大きくした。 母親が財閥の親族だったから。 仕事で上手くいかなかったはずがない。 恋愛結婚ではない二人の見合い話は 父が人脈を使い根回しをした賜物だ。 そんな父だから愛情を家族に向けることなどない。 唯一子供たちの救いは そんな状況で結婚した母が 父の事を今でも好きだということだ。 家の中は 温かさに溢れていたと思う。 おっとりとした母親はどんな時でも父に寄り添っていた。 そんな2人を見ていたから 愛瑠を婚約者として紹介されても 何も思わなかったのかもしれない。 だけどそれは妹には納得のいく話では無かったらしい。 「お兄ちゃんはいいよね、愛瑠ちゃんだから。 可愛いし、優しいし お兄ちゃんだって好きでしょ?」 「……さぁ」 「とか言って遊んでる人とはちがって 愛瑠ちゃんには紳士に接してるじゃん」 それは、愛瑠の機嫌を損ねないように なんて、言う必要はない。 そもそも機嫌を取らなければいけない事は何もない。
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