第1章

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最低限の荷物とスーツを持って戻ると初見が窓を開けて誰かと話していた。 それが弟だと分かって駆け寄る。 「淳」 「姉ちゃん……仕事泊まり込みなの?」 「え……」 こちらを見ている弟の後ろで初見が小さく頷いていた。 「あ、うん」 「大変だね」 「うん、まぁ」 「じゃあ、木崎行こうか」 初見に促され「ちゃんとご飯たべてね」と淳に言うと「そっちこそ」と返された。 「弟似てるね、直ぐ分かった」 「よく言われる」 「トラブルがあって数日泊まり込むって話しておいた」 「ありがとう。 私じゃ上手く言い訳できなかったから助かった」 膝の上に置いたバッグを抱えるように持って息を小さく吐いた。 「クローゼットに鍵ついてるから 大事なものはそこにいれて。 部屋の掃除は週に3回はいるから」 「分かった」 初見はそれ以上話さなくて 私も黙って窓の外を見ていた。
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