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「まるで、戦国時代だ」
「え?」
「ってエリカが言ってた」
愛瑠が黒い瞳を丸くして見上げてきた。
「なんの話?」
「親が仕事を円滑にするために
子供の結婚を操作する事」
「……あぁ、なるほど」
「愛瑠は嫌じゃないの?」
リューアルした水族館のプレオープン。
親が関わっていたから招待された。
2人で来なさいと。
「よく、分からない」
「……」
「多分人を好きになった事がないからかな。
友達が好きな人の話ではしゃいだりするの
聞いても入ってこなくて。
まるで
この水槽の中にいる魚みたいに
外の話は聞こえない感じなの」
大きな水槽を見上げて言った。
「だから理央と結婚することも嫌じゃないよ」
そう、嫌じゃない。
そういう気持ちは同じだ。
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