第1章

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「……」 愛瑠は目を丸くして固まった。 「好きな人いるんでしょ?」 「……やだな。 理央には分かっちゃうんだ」 恥ずかしそうに笑う横顔を見て 気持ちが同調するように緩んだ。 「誰かと一緒にいたいと 思うことが 楽しくて、苦しいなんて 初めて知った」 呟いたその言葉が胸の奥にちくりと刺さるのは 同意出来ると思っているからだろうか。 「仕事関係の人?」 「うん、考古学者なの」 「そっか。 文化財だと彼らは重要な役割を担うからね」 「うん。 この間もね17世紀に建てられたと思われたんだけど半分は もっと前に建てられたものだったの」 「へぇ、凄いね」 「楽しいよ、そういう事があるから」 愛瑠が輝いて見えるのは 恋をしているからだけじゃないらしい。 愛瑠の手掛けた建物の写真を何枚か見せて貰った。
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