第1章

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愛瑠が日本に戻らない事を知り 父の機嫌はあまり良くなかった。 「向こうに恋人でもいるのか?」 眉間に軽く皺を寄せた父親が視線を向けてくる。 「……いや、それはないんじゃないですか? 仕事が楽しいみたいだし、写真見せて貰ったけど凄く素敵なものでしたよ」 声に表情が出ないよう、気をつけた。 「……」 納得はしてなさそうだけど、それ以上何も言わなかったから小さく息を吐き出した。 期限を伸ばしたところで状況は変わらない事は分かっている。 でも、少しでも長く今の状況を続けたい。 まだ、家には戻りたくない。 そうは言っても父の一言で全て動いてしまう。 だから知られたくない。 愛瑠が進もうとしていることも 先輩のことも。 知られたら最後、どうなるかはわかる。 そして周囲に迷惑がかかる。
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