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「おかえり、リエ。無事着いてよかったよ。ちょっとだけ電話してもいい?」
「うん、いいよ。私もしたい。」
「もしもし、リエ?」
「もしもし」
どうやら武は少し酔っているみたいだ。なんだかいつもよりテンションが高い。
「歓迎会はどうだった?楽しめた?」
「うん、みんないい人だよ。いっぱいもてなしてもらって楽しかったよ。」
「ならよかった。新しい仕事はどう?」
「やっぱり噂通り忙しいよ。私は右も左もわからないからなおさら焦っちゃって。」
「あまり無視しないようにね。辛いときはいつでも俺に言いな。」
「わかった。ありがとう。」
こういうとき、武はいつも優しい。
「武くんは?酔ってるみたいだけど友達と出掛けてきたの?」
「いや、今日はひとりで飲んでたら少し飲みすぎちゃった。」
「……リエ」
「ん?」
「好きだよ。」
彼は酔うとよくそう言った。普段はほとんど言わなかったけれど。
「……うん、私も好き。」
私は照れながら答えた。
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