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「リエちゃん、契約書の第27条の3の件なんだけど、この一文を追加したほうがいいと思うんだけどどうかな?」
「うーん…」
先輩の鈴木宏からの突然の相談に、頭をフル回転させて考えていると、隣の係の小野田信一が厳しい口調で話に加わってきた。
「鈴木先輩、その一文って意味ありますか?むしろそんなのを追加したらこちら側の不都合が大きいと思うんですけど。」
先輩に向かってかなり生意気な言い方だ。間違ってはいないけれど、言い方がきつい。彼のいつもの言い方だ。
そのせいで、彼と同じ部署になって1年以上になるが、私はいまだに彼が苦手だ。
でも、堅物という訳ではなく、ふざけた話もするし、その時の笑顔はちょっと可愛らしかったりするから、悪い人ではなさそうかなと思う。彼女のことも大切にしてるみたいだし。よく知らないからたぶんだけど。
そんなことを考えていたら、小野田が声をかけてきた。
「今日の飲み会楽しみだね。あー、俺マジで早く飲みたい!」
「信一さんお酒好きですし、最近忙しかったですもんね。」
やっとこんな他愛のない会話が出来るようになったもの実はつい最近のこと。
会話が終わると彼は笑顔のまま再びパソコンに向かった。
お酒を飲めるのがよほど楽しみなんだろう。
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