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企画部に異動してきて2週目の金曜日、歓迎会はにぎやかに行われた。
私一人のために会を開いてもらってなんだか申し訳ないような気もするが、気持ちがとてもうれしい。
私は一人一人にお酒を注ぎながらあいさつをして回った。
「部長、お疲れさまです。今日はありがとうございます。これからよろしくお願いします。」
「お疲れさま。こちらの部署でも頑張ってくださいね。」
部長は細身で背が高く、真っ白になった髪がよく似合っている。歳は50代前半といったところか。
表情は終始笑顔を浮かべていて、朗らかな印象を与える人だ。
企画部全体が明るい雰囲気なのは、部長の力なのかもしれない。
「鈴木さん、同じ係なので、いろいろ教えてください。これからよろしくお願いします。」
「俺こそ迷惑かけることがあるかもしれないけど、よろしくね。」
温厚そうな見た目とは反対に、少し神経質そうな声で鈴木宏は答えた。
「鈴木さんはエクセルの知識がすごいって小野田さんが言ってましたよ。私ぜひ教えてほしいです。」
「いや、大したことはないよ…。でも分からないことがあったら聞いてね」
「はい、助かります。」
「そう言えば、信一くんにはもうあいさつはした?」
「いえ、今係長とお話してるみたいだったので。もう少ししたら行ってきます。」
「そう。彼には結構いろいろ聞いたりすることになると思うから、仲良くね。」
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