第1章

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何をわかりきったことを言ってるんですかと逆に尋ねられる。いや、自分自身を主役に物語が展開するっていうのはむず痒いなんてものじゃない、とても恥ずかしい。中学生の頃、以来だ。 「ま、そこはいいとしよう。なんで卑猥な妄想をしてることになってるわけ? 僕がそういう人間なの?」 「エロエロ先輩ですから、きっとバレンタインだから、私のおへそにチョコレートを塗りたくりエロエロならぬ、ペロペロしてみたいと思ってそうだったので、不肖、この後輩の私が、先輩の妄想を物語にしてみたんです」 「余計なお世話もいいところだよ。エロカワイイ後輩じゃなくて、もうただの変態じゃねーか。へそにチョコレートを塗りたくるって誰も思いつかないよ」 「先輩ならそれくらいしたいと思っていそうでしたから、きっと幼なじみの手作りチョコレートをもらう妄想に耽って、布団なかでもぞもぞしてそうでして、いや、先輩、なにを言わせるんですか」 もう、エロエロ先輩の変態と頬を染める後輩には悪いけれど、さすがにそこまでしてはいない。幼なじみの手作りチョコレートがほしいと願ったことはあるけれど、そこまではない。 「素直になっていいんですよ。フィクションなんですから、自由でいいんです」 「その自由の代償に何か大切な何かが転落しそうだけどね」 「先輩の頭ですか?」 「転落したら僕、死ぬよ?」 「先輩の頭、すごく軽そうなので風船みたいにフワーッと飛んで行くか、首なし騎士みたいに頭をゴロンと落とすくらいの芸当できそうなんですけどね。残念です」 「まったく残念じゃないよ。代償ってのはほら世間体とか、僕の面子とかさ、いろいろあると思うんだ」 「何を今更、先輩の世間体や面子なんてとっくの昔にドブに捨ててるじゃないですか。安心してください。思う存分、恥や愚かさを発揮してください」 「ドブに捨てたつもりも、恥をさらすつもりもないんだけど!?」 「そんなことよりもです、先輩、私、先輩のために幼なじみの物語を書いてきたんですが、読みます?」 「読みますって、それ、僕を主役にしたやつだよね。やだよ。恥ずかしい」 「いえいえ、先輩が主役だなんて言ってませんよ。まぁ、似てるかもしれませんが別人です」 「似てるってことは、僕をモデルにしたんだね、怒らないから素直になるんだ」 「はい、先輩をモデルにしました。読んでください」
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