第1章

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これはあんまりだ。悲惨すぎるし、辛すぎる。幸せな関係一転して、地獄に変わったな。なにげに高校生時代の名残が残ってるのがさらに痛々しい。 「最終的には彼は過労死で死にます」 「やっぱり死んじゃうんだ」 「だけれど、後輩の女の子はすぐに別の男に乗り換え、同級生はむちゃなダイエットで激やせして、先輩は彼にかけていた生命保険を糧にさらにセレブな世界に入り浸っていきます。子供達は、祖湯な彼女達を見習うんでしょうね」 「たくましいというか、もう、ほとんど怖いよ。そいつら、子供達の将来が心配だ」 彼女達を反面教師にして、真面目に育ってほしいものだ。 「将来はみんな、同じようなことになりますよ」 「同じって、あれ、男にすり寄って死ぬまで吸い尽くしてポイ捨てみたいな?」 「ですね。女の子って恐ろしいです。女の子好き好きって言ってたらとんでもないことになっていた末路です」 落語の饅頭怖いかよ。 「まぁ、あれだな、幼なじみは一人で充分だな。うん。よし、終わり?」 さて、帰ろうと荷物をまとめようとするが、後輩はさらに原稿用紙を差し出した。 「まだ、終わりじゃないですよ。先輩、後輩ルート、同級生ルート、先輩ルート、孤独ルートがあります、さぁ、どうぞ。高校生時代から一人を選んで社会人になったやつです」 分岐してる? 孤独ルートってなに? 「読まなくちゃダメなの?」 「先輩が頼んだんですから、私の頑張りを無駄にするんですね」 「わかった、わかった。で、どれから読めばいいんだ? 選びにくいな」 「ここは年上から行きましょう。孤独ルートは最後にがおすすめです」 「その孤独ルートって教えてくれない?」 「読んでみるまでの秘密です」 「そっか、うん、よし」 年上のお姉さんと交際して月日が流れて、僕らは結婚した。子供はまだだけれど、お互いに家事や洗濯を分担することで仕事に出ることができて、順風満帆な生活に思っていたのに、お姉さんは最近、ノートに目を落としながらため息をつくこことが多くなり、友人の相談を受けているのか夜遅くまで長電話するところを頻繁に見かけるようになった。 僕がどうしたのと聞いても、少年には関係ないよと笑うだけだ。僕はいつまでも年下の子供扱いされているのは、悔しいがあまり踏み込んめない線引きがそこにあった。寂しかった。、 そんなときはいつも後輩の女の子に電話してしまう。
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