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「……裕子、悪かった。俺が馬鹿だった」
「うん、知ってる」
「こんな俺を愛してくれるのはお前だけだ。許してくれ。勘弁してくれ……」
「押せないんだ? なら、私が押してあげよっか」
にやりと笑って、その顔に紫煙を吹き付ける。
昨日していれば大目玉な行為だって、今じゃやりたい放題だ。
「裕子、裕子、離婚だけは……」
「何? お馬さんで遊べなくなっちゃうのがそんなにイヤ?」
「愛してるんだ裕子……頼む……」
「仕方ないなあ」
離婚届を、彼の手に持たせたまま引き寄せる。
狙うべき捺印欄は、ちょうど彼の手首の上だ。
「男みせろよ」
――直後。
ぎゃああっ、と突き上げるような咆哮が辺りを震わせた。
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