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「さらに言わせて貰えば、私はバリバリ妊娠可能だよ。あの産婦人科医がちゃんとした仕事してるならね」
「い、今さら負け惜しみのつもり?」
「ちなみに彼、離婚暦あるの知ってる?」
「はぁ!?」
やっぱり知らされていなかったのか。
さすがに、バツニ予定の男では聞こえが悪いと思ったのだろう。
「私だって最近の夫がおかしいなって気づかないわけではなかったんだよね。もしや前妻とは浮気で別れてたのかなーと思って、最近遅れ馳せながら調査したんだ。結果はシロだったけど」
これさえ聞かなければ禁煙できていたのかもな、と今さら思う。
「離婚理由は不妊によるすれ違いだった。前回が不妊で、今回も不妊。彼も自分が種無しだなんて信じたくないだろうから、いまだにフーナーテストしかしてないけどさ……
確率論的な話だけど、これでなんとなくどっちに不妊の原因があるかは想像つくんじゃない?」
「ち、違う! 君がいつまでたってもタバコをやめないから、卵子の質が――」
普段は声を荒らげることのない旦那が、血相を変えて反論する。
こんなことがなければ、私だって彼の矜持を傷つけるようなことは言いたくなかったのだが。
「どっちにしても、誰の子かなんてDNA検査すれば一発だよ。最近は母親の血液から胎児のDNAを抽出できるから、今のうちにはっきりさせられるしね」
ぐ、と恭子が黙り込む。
すぐ反論しようとする女から目を逸らさず、もう一度念を押した。
「やってみればいいよ。……本当に、自信があるならね」
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