02.思い出って大事?

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正直な話をしよう。 俺はどこにでも居るモブキャラを自認している。 特徴らしい特徴が無いのが特徴だ。 その存在感の無さは筋金入りで、学生時代に至っては居ても気づかれなかった程。 学生時代はその存在感の無さ故の孤独に心を折られかかったのだが、見兼ねた教師が一つの道を勧めた。 今思えば、あの教師…よく俺の状況に気づいていたな?と感心してしまう位だ。 「龍司君…君…何がしたい?…いや大人になって何をしたいんだい?」 放課後の面談で、その教師が俺に聞いた質問が今の言葉だった。 「これといった目標も無ければ、趣味もサバイバルゲーム位なので、趣味の時間を取れる仕事にでも就いて…漠然と過ごしたい」 …我ながら、随分と他動的な考えだったと今にしてみれば思う。 ただ…そんな答えに今までの担任なら、ふざけてないで真剣に考えなさいと言っただろうが、この教師は違った。
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