第1章

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「おねショタも意外といいかもしれない」 「はい? 何ですか?」 「いや、良くないな。このジャンルには造詣は無かった筈なのだが、頭痛が収まらん……」 「京極さん疲れてるんですよ、たぶん」 そうだなと、京極と呼ばれた男は眉間を指で揉みほぐすと、椅子にもたれ、大きく伸びをした。薄暗い小部屋に気の抜けた声が反響する。 「この男は誰だ?」 晴明が値踏みするように言った。 「この人は最近増設された怪異対策課の課長、京極春目さんです。因みにロリコン」 「ロリコン?」 「そーねー、ざっくばらんにいうと幼い女の子の専門家?」 ほう、人型自律式の専門家かと、晴明は頷く。 私はそんな光景を訂正する気が起きなかった。 最近、京極さんに「何で、京極さんは陰陽道を極めようなんて思ったんですか?」と、聞いたところ人型自律式(小さい女の子)を作りたかったと真顔でかたったのだ。 怪異対策課は京都市役所に仮新設された部署である。仮新設なので公には知らされていない、人数も少ない、予算もない、無い無いづくしであった。 そんな部署が何故できたかというと、発端は例の事件である。 やっぱり古都だしとか、そういったことを期待してなのか、上の方で急遽決まったとか。 だが、突貫工事できた物が緻密で正確なわけが無く、早急に問題を露呈した。具体的には、やる事が全く無かったのだ。 かくして私は京極さんが、「先人は哲学の道を歩いて天啓を得た」と言っていたのを思い出し観光ついでに歩いていたというのが冒頭での出来事である。 そういう意味では自称、安倍晴明言うだと少年の訪問は、初めての成果かもしれない。 そう思うと私の期待感も上がります。 「そう言えば、こういう事ってどこに報告すればいいんでしょうか?やっぱり魔術協会ですか?」 ちなみに魔術協会とはこの世界におけるあらゆる魔術の研究機関である。月の入ったエロゲレーベルの設定まるパクリだが、名借りだけなら大丈夫っ!!と私は拳を高く上げた。 そして、ここで示しているのは全世界にある支部のうちの1つ、東京支部の事である。 「でも、あそこの連中って威圧的なんだよなー。あいつら魔術を使う事に一種の優越感を抱いてるんだよ」 と、京極はぼやいた。
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