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「あと、皆も知っておろうが、此度、我らに尽力して下さった者達だ」
そして、わたし達の姿がライトアップされました。
何だかこそばゆい気持ち。
沸き立つ観客をよそに左の宮皇女は続けます。
「勇敢なる者たちよ、名を名乗ってもらえないか。妾達はその勇姿を是非胸のうちに刻み付けておきたいのだ」
「おおっーー!!」
沸き起こるコール。
「では、私から申し上げましょう」
晴明は仰々しくかおをあげると続けました。
「私は安倍晴明。あなたはこの世界では帝のような存在とお見受けします。お目にかかれて光栄です」
そして、ニコリと微笑みました。
「安倍晴明って、あの……陰陽師のっ!!」
「そんな人が味方ならもう安心だわっ!!」
「晴明さま万歳!!」
様々な野次が飛び交います。
先の勾陳の活躍もあってかその少年の発言を疑う人は皆無でした。
通常、人は物事が順調に進むほどに期待のレベルも上がっていくものです。
結果、観客は「彼女はきっと凄い人なのだろう」という熱い視線を送りました。
「え……と、私は神代美咲と言います。あの……無名の一般人ですが、微力ながら皆さんにお力添え出来て良かった……です」
尻すぼみしたような挨拶を済ませ、会場を一瞥すると深くお辞儀をしました。
わーっ!と歓声が起こりましたが、先ほどと比べると少し……いえ、かなり弱かったように思えました。いえ、もはやこれは露骨!
会場の皆様ごめんなさい、私ただの巫女なんです。
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