第1章

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晴明の提案はこうでした。 取り敢えず今回は都に魔除けの結界を張る。勿論、陰陽師の範疇なのですから効果は期待できるものでしょう。 しかし、一つ問題がありました。 頭を悩ませたのは、結界を維持する技術不足です。 結界の役割はあくまで穢れた土地の浄化です。 あの怪物達は表現すればまさしく穢れ。ほうっておけばすぐに結界は綻びるのです。 「現在、魔術に特化した技術を持つ桜がいるとの報告は受けていません」 申し訳なさそうに黄桜が言いました。 そこで私は思い切って手を挙げました。 「もし良ければ私の方で頭数の確保を致しましょうか?」 事実、私達のスポンサーは魔術協会という世界有数の魔術ギルドです。 メジャーなところで錬金術、降霊術、占星術、端は陰陽術、さらには黒魔術でさえ、あらゆる道に通じた魔術師たちが所属しているのです。 しかし左の宮はその提案を一蹴しました。 「気遣いは有難い。だが、妾はこれ以上他の種族を入れたくはないのだ。主らには勿論敬意を払っているが、これ以上の好意は我が種の立場を尊重して取り下げてくれないか?」 表面上礼は尽くす。ですがそれだけ。 差別意識もここまで来ると清々しいものです。 私は思いました。大人の対応辞めようか? そう思った矢先に曙さんが言いました。 「諌言を承知の上申し上げます。これは感情論ではなく種の未来を考慮した上での賛同するべきです。姫がこの提案に納得しないでいるのなら私は種のためにこの首を差し出しましょう」 曙さんは今にも自害しそうな勢いで迫ります。 桜ノ宮も流石にそこまでして欲しくなかったのか渋々と提案を飲みました。 「では次回訪れるときに数人程お連れいたします。その代わりに邪魔にならない程度にこの世界の調査をさせて頂きます」 この条件――桜消失事件に関わる物事に対する調査は勿論、怪異対策課の基本方針です。
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