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時と場所は変わって話は私が諸事情により閑散とした哲学の道を歩いていた時から始まります。
「ああ、以前は桜の名所だなんて言われていたのに……なんてっ、小奇麗でサッパリした道に……満開って言う位だからこの状況は不満開?ププッ」
私、神代美咲は独りごちます。そして、用水路に隠れる小さな影を見つけ小さく首を傾げました。
「あのー、僕ー?そこで何してるのかなぁ?」
「おおっ、女よ、俺の拵えた人祓いの結界が見えるというのかっ!?」
弾かれた様に用水路から身をもたげ、周りに誰もいないかを確認したショタは私に身を隠す様に指示しました。
「結界を認知出来るのなら、君も陰陽師の端くれだろう?」
「いいえ、私はただの巫女さんですよ。
今日ここにいるのは、ただの出張」
ショタは、そんなことはどうでも良いと言いながら、橋の向こうを行く車を指差しました。
「最近の都はあのような怪異を野放しにしているのか?
村上帝の頃も大概だったが、険非違使は一体何をしているのか……いや、売女の溢れる朱雀通りと比べりゃマシか」
そんなショタを尻目に私は推測します。
(いるのよねー、こういう自分の世界に入っていく年頃の子供って……迷子かしら)
私がこの辺に交番ってあったけなー、と思い始めた頃……思い出したようにショタが口を開きました。
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