第1章

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「ところがどっこい、今回は慰安旅行のようだ」 アマテラスさんの言葉に私は思わず振り返りました。 「怪異対策課名誉所長への招待状?」 茶封筒の中のはがきサイズの用紙には確かにそう書かれていたのです。 しかし、人事などの詳しいところを省くのはいかがなものかと思いますが。 「最近京都付近で多発している怪異に魔術協会もようやく本腰を入れてきたらしい……。あと、妾はこの件については何も関与はしていないぞ」 と、再び視線を背けるアマテラスさん。 所詮はお役所仕事。恒例の『作ったけど人がいない代物』なのでしょう。 「でも、そうですね。折角だから行ってみましょうか。また適当に区切りをつけて帰ってしまえばいい話ですから」 そうして私は旅行の妄想へとダイブしました。 祇園の街を歩く舞妓たち、私は嵐山の竹林を歩き、そして清水寺をバックに写真を撮り、鴨川沿いの店でランチを食べるのです。ああ、なんと素晴らしいのでしょう。 「おお、そうだ忘れておったが、妾はこの後のページから一切出てこないからな」そこにアマテラスさんが思い出したようにメタ発言をかましました。 「え……、何ですか?急に……」 「大人の都合というか、神の都合?ほら妾が出てくれば読者は混乱するだろうし、それに前作も完結していなしな…。 というわけで妾からおまじないだ、ありがたく受け取るがよい」 そう言うとアマテラスさんは私を手招きしました。
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