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鳥かご
カインが難しい顔をしていた。
あれは間違いなく、こちらに気づいて攻撃して来た…。
シュウが守ってくれなかったら危なかった…。
「ありがとう」
シュウに心で伝えた。
シュウはウインクして私の頭を撫でた。
「あれはなんなの?あれは、あの人に何をしていたの?」
さっき見たあの奇妙な行動が頭から離れない。
「エネルギーを吸い取って、別の何かを与えていた。」
呟くカインを見上げた。
すると天井の大きな窓から本を片手にアベルがやって来た。
アベルは一瞬私を見ると本を放り投げた。
本は勝手にページをめくり、あるページを開いた。
『ベリアル』
天使→堕天使。
美しい見た目と威厳に満ちた高慢さは全て偽りで、天から追放され堕天使となる。
召喚者の身分や位の低い者の場合はベリアルの思い通りに操られる。
ルシファー、レヴィアタン、サタンと並んで4人の魔王の中の1人として名を挙げられている。
…そうか、嘘つきだから天から追放されたのかな…。
なんか…私みたい。
私の心の声をみんなが聞いていたのを忘れて、顔をあげられない…。
心に蓋をしなきゃ。
でもそんな悪魔と、なんで契約なんかしたんだろう。
私みたいに間違えて…チラリとカインを見る。
カインは難しい顔をしたまま腕組みしている。
「とにかく、もうあの森には行くな!!」
アベルが怒ってる。
私達に起きた事全てを把握してるみたい。
「アイツは本当に危険なんだ。アイツが何をしようとしているのか、あの人間をどうしようと我々には関係のない事だ。横取りなんてしようものなら、アイツの煉獄の炎で永遠に燃やし続けられるぞ!」
ーーーそうだね、みんなには関係ないよね…。
あの人はみんなにはただの人間だもんね。
しかも相手は悪魔の中でも物凄い強い魔王…?
敵に廻したく無いよね。
みんなも凄く強そうだけど、あっちはもっとすっごい強そうだし、敵わないもんね…。
みんなの顔を見た。
あれ?
みんな私の顔を無表情で見つめる…。
はっ、また心の声が…。
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