第1章

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幸は「今日は体育でバレーするの。バレーって、手首痛くなるから怖いよね~」って感じの話を、朝ごはんを食べながらゆっくり話してるのを、食パンをかじりぼんやりと聞きながら、他のことを考える。 ゆずがおれん家に泊まると、朝ごはんはウチで食べるし、おれがゆずん家に泊まればゆずん家で朝ごはんを食べる。 今まで、基本的にこのスタイルだったから、ゆずに断られるってのが、なんか引っ掛かった。 なんでいきなり… 「渉夢?もうそろそろ出る時間だぞ?」 ぐるぐる考えていたら、ゆずの声がしてはっとなる。時間がなくなってたらしい。それを伝えるように、幸の声が玄関から聞こえた。 「やべっ、ぼーっとしすぎた。行こっか!」 急いで立って玄関に向かう。 母さんに「いってきます」を言って ゆずはいつもみたいに「ごちそうさまでした」っていった。 そして、ゆずがちょっと心配そうにおれを見る目を無視した。 ――――…なんとなく。 このぐるぐるするわからない感情の存在を、ゆずには知られたくないって思ったんだ。
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