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眩しい光が窓から射し込む。
それと同時にここにいるハズのないあいつの声がする。
「おい、起きろ。朝だぞ。
……遅刻するぞ?」
「ん~…」
なかなか目を開かないおれのベッドに座りながら、あいつが溜め息をつく。
「…もう高2なんだから、自分で起きろって言われないのか。」
う~…わかった、わかったから。
起きるから。
「カーテン閉めて…。」
眩しいんだけど。目がチカチカしちゃうじゃん。
目を少しだけ開いてみる。
「……。」
「………。」
…っだから…。
「…………………。」
だぁあ!!もう!!!
「…わかった。起きる。」
起きるから、そんな冷めた目ぇ向けるのはやめろ!!怖いだろ!!
母さんみてぇだ!!
おれが渋々、ゆっくりとベッドから起き上がるのを見届けてから、あいつが。
―…目を、柔らかく細めて、笑った。
それを見た瞬間、やられた、って思った。こいつは知っててやってるのかはわかんないけど、こいつのこの表情におれは弱い。
おれがなんか良いことしたら、ゆずは「えらいな。」って頭をなでながらこの表情をしやがる。
その瞬間、小さい子どもが親に褒められた時みたく、嬉しくてたまらなくなる。
さすがに、むやみやたらに頭なでんのはやめたらしいけど。
――…ガキみてぇ。
…いや、ガキなんだけど!間違ってはないけど!
モヤモヤと考えていたら、
「下、行かないのか?」
ってゆーからちょっとだけ、ゆずを睨みながら、さっきから思ってたことを言う。
「……行く。
けど、おれ、思ったんだけど、
おれだってお前のこと起こしてやってるよな!!?」
自分だってひとりで起きれないくせに!!
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