プロローグ【昼間の母は女】

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喉の渇きを覚え、キッチンに降り冷蔵庫から冷えたお茶を出し、グラス一杯分を一気に飲み干す。 ふとキッチンを見れば、シンクには食器が乱雑に置かれ、コンロには蓋が開いたままの鍋が放置されている。 家の中は静まり返っている。 はずだった。 微かな物音が規則正しく。 耳を澄ませば聞こえてくる。 肌をぶつける音と叫ぶ声。 まさか……。 嫌だ……。 それを確かめるように、急いで玄関に行く。 あって欲しくなかった。 先生の靴がまだあった。
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