第二章 成人の儀式

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「なあ、長老」  国王が僅かしか年の違わぬ老人に話しかけた。老人は振り返った。 「あの娘は、帰ってくると思うかね」 「さあ……どうでしょうか」  老人は少しだけ首を傾げると、搾り出すように言った。  国王は老人と海に背を向けた。帰路に就く最後の島民たちを見送りながら、寂しそうにぽつりと呟く。
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