第二章 成人の儀式

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「この島も、我々のように老いた者と、幼子だけになってゆくようだのう」  老人は国王に歩み寄った。二人の後ろで、穏やかな波が、浜辺に寄せては返している。 「次は、いよいよ王子の番ですね」  国王が俯くと、老人は国王を置いて歩き出した。一人砂浜に残された国王は、もう一度海のほうに向き直ると、空がオレンジ色に染まるまで立ち尽くした。
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