第一章 弘美と智美
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「あれ、おっかしいなあ、開かないぞ……」 智美は苦笑いを浮かべると、バットを首に持たせて鍵を開けた。 「お帰りなさい、お隣さん」 ドアの向こうには、隣の部屋に住む弘美がしゃがみこんでいた。こうして彼女を見下ろすのは三回目だ。弘美はペロッと舌を出して笑みを向けた。 「上がってく?」 智美の呆れ顔に、弘美は照れ笑いで応じた。
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