第一章 弘美と智美

4/8
前へ
/274ページ
次へ
「あれ、おっかしいなあ、開かないぞ……」  智美は苦笑いを浮かべると、バットを首に持たせて鍵を開けた。 「お帰りなさい、お隣さん」  ドアの向こうには、隣の部屋に住む弘美がしゃがみこんでいた。こうして彼女を見下ろすのは三回目だ。弘美はペロッと舌を出して笑みを向けた。 「上がってく?」  智美の呆れ顔に、弘美は照れ笑いで応じた。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加