10/16
前へ
/615ページ
次へ
 顎鬚は首を覆い隠していたが、故意に伸ばしたというより、不精鬚のような薄汚さを感じさせた。血の気を失った唇は時折小刻みに動き、何やらブツブツと独り言を呟くさまは、ミステリアスな異国の呪文を唱えているようだった。 「ありゃ、頭か体か、何れにしてもどこか具合が悪そうだ」
/615ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加