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上半身を起こし、ぐっと両手を天に伸ばし、深呼吸をした。1月初旬、朝の空気は冷たい。 そのまま暖かい布団にもう1度、潜り込みたい気持ちを押えて、ベッドの上で軽くストレッチをする。 少し体が温まってきた所で、腰を上げた。 「カワイイね」とか「将来は美人さんになるね」とか物心ついた時から、当然のように周りの大人に言われ続けて来たセリフだった。 それってお世辞や幼い子供に対する特有の褒め言葉? けれども、幼稚園の時に、同じクラスの男の子全員に告白された経験がある。 小学校・中学校と進むに連れ、男の子告白されて、振った回数なら、誰にも負けていないと自負しよう。 きっともっと都会に住んでいたのなら、芸能界のスカウトに会っていたかもねなんて、親バカのママはそんな事を言っていた。実際の所、私もそう思う。 ぱっちりとした大きな瞳、マツ育いらずの長いマツ毛、ニキビ知らずの肌、アヒル口の似合うぷくっとした唇、歯並びの良さ。 艶やかで細くてサラサラの髪に、形のいい耳、すらっとした手足。 昔、ミスコンを目指していたママから受け継いだ遺伝子に、感謝しなかった日はない。
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