第1章

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三日前。 あー。いいバイトねぇかなー? 人の声が賑わうファミレスで 俺は高校からの付き合いの連れ、 慎吾と仕事情報紙なるものを ペラペラ捲っていた。 「後先考えずに仕事やめちまうから そんな目にあうんじゃねーか」と 呆れながら溜め息を吐かれた。 んなこと言われなくても 俺が一番わかってるっつーの。 今年で20になる俺は高校卒業と 同時に近所の工場に就職したものの 上司との折り合いが合わずに 後先考えずにやめてしまった。 2年も耐えたんだ。 誰も文句なんか言わせねぇ。まじで。 って誰に言い訳してんだ俺は。 ところで慎吾。大学で彼女出来たか? 「何回目だよっ出来てねーよ!」 と、またも溜め息を吐きながら 慎吾は苦笑いをこぼした。 「彼女ほしいけど、うちの大学は エリートが揃いすぎて俺じゃ 役不足過ぎるんだよ」 なにいってんだ。 俺に比べればお前もエリートだよ! フリーターになっちまった俺に んなこと言わせんじゃねーよっ と笑いながら時間を潰すいつもの 午後の風景であった。 そんな、話をしているときだった。
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