第1章

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『あちゃー!』 慌てて帰ってきた俺は部屋の惨状に天を仰いだ。 ボロボロにされたティッシュの箱、その中身は原型がないほど細かくちぎられ部屋中に散乱…散らばる服… 『つか、服はいつものことじゃん!』 俺の後ろから投げ掛けられた言葉に苦笑いを浮かべて振り返ると、呆れたような顔でオミさんが笑ってた。 『で、犯人はどこにいんの?』 へぇー。こんなオミさん初めて見るかも。ウキウキした感じで俺の部屋の中を探し回っている。 『居間からは出られないはずだから、どっかにいると思うんですけど…』 俺も探してみるけど、姿は見当たらない。 ま、いいや。俺は服を脱ぐと朝脱ぎ捨てたスウェットを手に取った。上も脱いじゃったから、早く着ないと寒い…あれ? 『がんちゃん、いきなり脱ぐなよ!って、どーしたの?』 メンバーから脱け殻と呼ばれる俺の脱ぎ捨てた服。その前にしゃがみこんでる俺を見て、オミさんが声をかけてきた。 『こんなん、反則じゃないっすか?』 俺はかがみこんで脱け殻を覗きこむオミさんに目を向けて言った。
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