15人が本棚に入れています
本棚に追加
『これは…確かに反則だわ』
オミさんが口端をあげて、いつもより柔らかな表情を作った。
俺とオミさんが目を向けた、俺の脱け殻のスウェットには…
すやすやと眠る仔猫の姿…
一週間前、拾っちゃったんだよな…その話をしたらオミさんが見たいって言うから、見に来ます?って誘ったんだ。
『俺のスウェットだぞ…』
って仔猫の口をちょんと触ると、仔猫は俺の指に小さな手を引っかけて指の先に吸い付いた。
まるで母親のおっぱいを吸うような仕草。お腹空いてんだろうなって思ったから指を引き抜こうとすると目を覚ました仔猫が鳴き声をあげる。
『やべ、鳴き出した…』
慌ててると隣にいたオミさんが膝をついた。
『オミさん?』
『ヤバイって…可愛すぎるじゃん…』
たまんねーって顔でオミさんが額に手を当てていた。だよなー。俺もメロメロなんだよ、今。
でも今はそんなこと言ってる場合じゃない。俺は小さな体を抱き上げてオミさんに渡した。
『ちょっと!こんな小さいのどうすりゃいいの!』
『ちょっと抱っこしててやってください。俺ミルク作ってくるんで』
慌ててるオミさんを尻目に俺はスウェットを着てキッチンに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!