第1章

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キッチンに行くと湯を沸かす。ミルク用だから少しでいいや。その間に仔猫用の哺乳瓶に粉ミルクを入れて、沸いたお湯を入れて溶かす。 哺乳瓶はまだ熱いから冷水で冷やしてやらないと。蛇口をひねって冷たい水に哺乳瓶をさらす。 この寒い中、冷水に手を濡らすのって楽じゃないけど、チビのお腹を満たしてやらないと鳴き止まないからなぁ。 って、今の俺…すっげぇにやにやしてるかも… メンバーには見せられない姿かも。哺乳瓶に触れると少し温くなってきたみたいだ。俺は哺乳瓶から少しミルクをだして温度を確かめた。 『人肌、人肌…』 って、振り返って言葉が止まる。そこには信じられないって顔で俺を見つめるオミさんの姿… 『…』 オミさんは唖然とした顔で俺を見つめ 『ぷっ』 おもむろに吹き出した。 『あっはっはっは!』 『…はははは』 豪快に笑うオミさんとは対照的に、渇いた笑いしか出ない俺。 『がんちゃん、マジかよ…こんな姿、想像できないって…』 いやぁ、俺だって自分がこんな感じになっちゃうなんて思いませんでしたよ。けどさ…
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