第一章 失踪者

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   ところが、その状況に多少だが変化が生じていた。  千葉北署の検挙率に関しては上昇しており、それに関しては何も変化は無い。  変化というのは、千葉県警内にて生じているのだ。それを北方に報せに来たのは、同署・同刑事課の内海と近藤であった。  内海 菜々江 巡査部長。  近藤 賢次郎 巡査長。  ヤジキタが千葉北署のエースコンビなら、二人は裏エースコンビといったところであろうか。  そんな二人は、ヤジキタに報告する。 「係長、ご存知ですか?」 「何だよ、血相を変えて。内海」 「県警としての先月の検挙率が、前月の三割増しだそうですよ」 「そうらしいな」 「そうらしいって、係長。気にならないんですか」 「検挙率が上がる事は、それだけ犯罪の解決につながる。そうした意味では、俺としても気にかけてるがな」  北方は、先ほどのボヤきとは違った意味合いの言葉で返した。
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