プロローグ

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   その内容の為か、残りの二人は口を閉ざし反応をしなかった。  三人の間に、何とも言い難い沈黙が訪れる。  数分の沈黙で、それに耐えきれなくなったのは、さっきまで語っていたのとは、別のもう一人の男性だった。  その男は、先の男と比較し背が高く筋肉質の印象がある。それでいて、大人しそうな雰囲気を醸し出している。 「本当に、そんな事が可能なのか?」  先ほどまで語っていた、小柄で利発そうな男が。その質問に対し、自分は格上だとばかりに偉そうに答える。 「たかだか、日本で五本の指に入る程度の企業だろ。不安になる程、大した相手じゃないよ」 「いや、十分に大した相手だって」 「そうだとしても、僕らなら何の問題も無くやれるって」  そこで、最後の一人である女性が口を開いた。 「ねぇ、私たちは相手が誰だとか手段がどうとか。そんな事は、言ってられない状況なのは分かってるよね?」
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